2016年12月28日

宮城 秀貴氏と『mythography』と靴のコト。

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2012AWよりスタートしたシューズブランドの『mythography』を皆さんご存知だろうか?
そのアイテムの素晴らしさはもちろんのこと、最近ではファッションアイコンとしても多岐にご活躍されているデザイナーの宮城氏にインタビュー。宮城氏を、『mythography』を、知っている方もまだ知らない方も、その想いに是非とも触れて頂きたい。


シューズブランドである『mythography』をスタートされたきっかけは?

 

元々洋服には興味があって、なんとなくファッション業界の仕事に携わりたいなという思いがあったのですが、そんな中で初めて勤務した会社がシューズブランドであったことが、靴を作ることのきっかけでもあり、『mythography』を始めるに至ったきっかけでもありました。

 

私が『mythography』と出会ってからかれこれ5年くらい経っていますが、そのものづくりやアイデンティティからも、靴が作りたくてファッション業界に入られたのかと思っていました。

 

よくそう言われるのですが、実はどうしても靴が作りたかったというわけではなくて、それまでの過程で靴を作る術を学べたことと、靴を通して自分なりの表現をしていくことの楽しさを素直に体感できたことが大きかったですね。なので、ファッションを通して表現するという面で見れば、もし初めて勤務した会社が靴ではないものづくりをしていたら、シューズブランドとしての『mythography』は誕生していなかったかもしれませんね(笑)。

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靴でのものづくりとなると、木型やサイズであったりと、ある程度の制約があると思います。その辺りに関しては何か感じられることはりますか?

 

おっしゃる通りで、一般的なアパレル衣料と比べると制約はもちろん感じます。けれど、だからこそその中でブランドの”らしさ”を表現していくことは素直にやりがいや楽しさを感じます。例えば革靴のアッパーに対してVibramソールを使用したシューズを作っていますが、その様に制約の中でこそ体現できる良い意味での”違和感”の様なものはこれからも大切にしていきたいですね。

 

現在『mythography』も生産拠点は中国とのことですが、ものづくりでの”Made in China”への考え方も変わってきた様に思います。

 

『mythography』がスタートした当初から生産は中国の工場にお願いしていますが、当時に比べてもその技術は格段に向上していますね。もちろん賃金が上がっていたりという現状もありますが、とはいえ国内で生産すればさらに工賃は上がってしまいますし、むしろ現在の中国の工場の技術やこれまで共にものづくりをしてきた関係性から考えてもポジティブな印象というよりかは、不可欠な印象ですね。

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とはいえどもその反面、難しい部分もあるのでは?

 

もちろん言葉の問題も含め、スマートにはいかない部分もあります。例えばタイムリーなところでいうと、2017AW用のアイテムサンプルをまさに製作しているところですが、2月から中国は旧正月に入ってしまい工場がストップしてしまうので、かなりスケジュールがタイトなんです(笑)。ただその様に難しく感じる部分に関しては、できる限り私自身が中国に行ってコミュニケーションをとる様にしていて、そこでの想いの共有や関係性の中で解決できていることがほとんどですね。

 

なるほど。私が初めて『mythography』の靴を見たときに、「このクオリティでこの安さって凄い。」と思った所以もそこに潜んでいるのでしょうね。グットイヤーウェルト製法であの値段に収まることには本当に衝撃でした(笑)。

 

そう言って頂けると大変ありがたいですね(笑)。もちろん、グットイヤーウェルト製法であの値段となるとむしろ胡散臭いとかって思われる方もいるかもしれませんが、そこは1度足を通してみて欲しいなと。むしろ、「この値段でこんな履き心地が味わえるんだ!!」っていうのを感じて頂きたいですね。そういう意味でもですが、私にとっての靴って毎日のコーディネートの中でも主役の存在なんです。もちろん外出するとなると毎日靴を履くわけですが、洋服と比べて手持ちの靴のバリエーションって少ない人の方が多いと思うんです。その中で必然的に1足の靴と過ごす時間は長くなるわけじゃないですか。

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確かに、靴に付いた傷1つをとって見ても「この傷はあの時あの場所で出来た傷だよな。」みたいな感じで思い出を残してくれていますよね。

ブランド名である『mythography』の由来でもありますが、「靴を履く意識」を自分が作るアイテムを通して感じて頂けたら良いなと思っています。その上で私としてもいろいろな提案をさせて頂きながら、『mythography』のアイテムと共に生活を共有していってもらえたら嬉しいですね。

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靴のブランドなのにあえてコーディネートとしてコレクションルックを作られている部分に、個人的にも見せ方としていつも素敵だなと感じさせて頂いているのですが、あれってかなり前から変わらずにあのスタイルですよね?

 

コレクションとして始めた当初からコーディネートでルックは作成していますね。靴だけで綺麗に着飾らせて写真を撮ることも見せ方の1つとしては素敵だと思いますし、むしろその方が伝えやすい・伝わりやすい部分もあるとは思います。しかし、自分として、そして『mythography』としては”モノ”としてだけではなく、”コト”としてアイテムを伝えられないかという発想の元であの様な形にしています。

 

展示会場で実際のアイテムを見たときにも、ルックを通して想いやその靴への捉え方が伝わってくる様に思います。

 

その中で自分としての発信を含めて、その人であったりショップであったりのオリジナルの『mythography』の捉え方で楽しんで頂けたら嬉しいです。それに単純に「このアイテム買ったらどうコーディネートしようかな?」っていうのってファッションの醍醐味の1つじゃないですか? その思いをルックの作成の中で自分自身も毎回とても楽しめています。

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実際に毎回のルックの中の靴以外のアイテムはどの様に調達されているのですか?

 

メインは自分の私物ですね。他には仲良いスタイリストさんやショップさんに貸して頂いています。こういった作業をしていると、スタイリストさんやショップの方々の苦労が一部ですが垣間見えて、「皆さん本当に素敵なお仕事をされているんだな。」としみじみ感じます(笑)。

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それでは最後とはなりますが、今後の展望等があればお聞かせください。

 

もちろん、『mythography』としてもですが、私自身としてももっと多くの”コト”を発信していきながら、自分のフィルターを通してファッションの面白さの様なものを伝えられる存在になれたら嬉しいですね。最近では周囲の方に恵まれて、POP UP STOREであったりBLOGであったりと、ありがたい機会をたくさん頂いています。そういったありがたみを還元していきながら、”モノ”でも”コト”でも海外も含めて発信できればと思っています。

 

宮城さん、貴重なお話をありがとうございました。

 

こちらこそ、ありがとうございました。

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Written by Haruka Koguchi

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